彦一物語

彦一の水ぶろ

夏の暑か日、彦一は八人の百姓と頒主のとこへ年貢の米ば納めに行かしたげなたい。馬のせなかに米ば三俵ずつ積んで行かしたったい。水はなかもんだけん、のどは渇くし、暑かし、汗ばたらたら流して歩かしたったい。 途中、森には美しか水の湧きでる池のあるけん、早ようそん冷たか水ば飲まんばんと思って歩かしたったい。森に着いてみると、どうか池の水は減ってしまって、飲もうするばってん、どやんしても、とどかんとたい。皆な、なんとかするばってん飲めんもんな、水は目ん前にあるばってん飲めんけん、よけいのどは渇くとたい。そん時、彦一は着物ばぬいで裸にならしたげな。そして、池の中に飛び込ましたったい。彦一は、気でもくるったっかと、皆、たまがらしたげなもん。すると、どうだろうか、彦一の体の重みで池の水がふえ、皆、水をのむことができたげな。

 

 

おいはぎと刀

彦一は貧しかった、大晦日は借金取りが来て、いつももめていました。 ある年の暮れ、彦一は裏庭で瓦をやたらわりだした。よめさんは、そうとう心配しましたが、彦一は、「心配するな、なんとか銭のくめんをします。」と言います。その頃、毎晩、松馬場においはぎが出ていました。彦一は、そのおいはぎから刀を奪って、それを売って正月を迎えようと思いました。彦一は、瓦を木の箱に入れ、油紙できれいに包みました。そして、その上に御用金と書いてはりました。 彦一は用意ができました「ふ」を買って頭につけ、脚絆をはき、日が暮れてから松馬場に行きます。あんのじょう、おいはぎが来て、「待て、待て、待て。」と呼びとめました。
彦一は、「どうしましたか、御用金をもっていくので急ぎます。」と言うと、おいはぎは「おまえは、とっても大変だそう、おれが手伝おうか。」と言います。「うん、それはありがたい、それなら、お前の刀をもってやろうたい。」といって箱をわたし、刀を受けとりました。おいはぎは、箱をかついで走ります。 彦一は、「早いよ、そんなに急ぐな、急ぐな。」といいながら、うしろを走っていって、刀を受けとります。

 

 

まつぼり

彦一は、とっても酒が好すきでしたけん、よめごは毎晩酒かいに行いかないといいけませんでした。
そればってん、貧しかもんだけん、年のくれには借金取りがおしよせて、さすがの彦一も、これには困っていました。
「すこし、お金あっるとね。」と彦一は言います。そればみて、よめごは銭をもって来ました。「そんなお金を、どこから持って来たのかい。」と彦一はきくと、よめごは、「あんたが毎晩酒をかわせたろが、そん時、へそくりをし

たったい。」と、言います。彦一は、酒を毎晩のんでいたお金をためたけん、酒を止めたらさぞ銭のたまるどうと思い、翌年から酒は一滴も飲みませんでした。そして年のくれがきました。彦一は、よめごのへそくりを楽し

みにしていると、よめごは、「あんたが酒をのまんけん、へそくりがたまりません。」と言いました。

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