彦一物語

いももんどう

いももんどう

八代ン町の徳平ていう、人かりだまされたことのなか、ぶげん者のいんきょさんのおらしたげな。彦一は、こんひとばだましてみんばんておもち、庭さきんとこっで、
「ごいんきょさん。ことし、わしがつくったからいもは、こぎゃん太かったばい。四斗だるぐらいあったろな。」
「ウハッハハー、彦一やめんか、そぎゃん太かからいもてあるもんか。だまそうてしたてちゃわかっぞ。」
「そぎゃんたいなあ。ほんなこたあ五しょうだるぐりゃ・・・・・。」
「ばかんこつ、そぎゃんとんあるか。」
「そんなら、一升どっくりぐんにゃ……。」
「んにゃ、まあだ太すぎる。」
「うーん。一合びんぐりゃだったろな。」
「うん、そんくんにゃだろね。そりがあたりまえたい。彦一おりばだますとはむつかしかろが、ハッハハハ・・・・・。」
彦一も、おかしゅなって、
「ウッハハハ……。」
「こら、彦一、ぬしがおかしかこつァなかろうが。」
「ばってん、ごいんきょさん、まあだ、からいもは苗ばうえたばっかりでなかつたばい。」
徳平どん、がっくっととらしたげな。

わたかい

中嶋のン町によくいいわた屋があったげなたい。いなかもんだとみたなら、高こうわたばうりつけよったげな。彦一が、こりをきいて、わた買い行ったげな。
「ごめんなっせ、わたの実を五しょうばっかりくだり、実はなぁ、わたかいしたっことがなくて、こまっとですたい。」
「ああ、そぎゃんかいた。ちょっと、まっとんなっせ、今おとしてやりますけん。」
わた屋は、いせえで十貫目のわたばだしてきて、実をとりだしたな。彦一はそうば見て、 「そん実のはいっとるわたは、いくらでっしゅか。」
「こらあな、まあまけといて二円ぐんらいでっしゅな。」
「ほう、高いですな。」
「ちかごら、何でんあがるもんだけんな。」
話しばしとるうちい、実ばとってしもうて、「またせましたなあ。すんまっせん、ちょうど五しょうありますばい。」
「いくらでっしゅか。」
「あんただけん、一円二十せんにまけとくたい。」
「そら高すぎるばい。うん、そんならせっかくだけん、実をとった残りわたでよかたい。ぜんぶで八十せんですたいな。」
彦二は十貫もあるわたを、八十せんでこうて、さっさもどったげな。番頭どんな、ぢだんだふんで、悔しがったそうです。

へいのつた

お城の裏手のほうは、だあも見みこんし、手入れもせんもんだいけん、石垣に植えたあたつのやつが、土べいを上がり、お城の屋根まで、のぼってきとったげなたい。ところがたいある日にのそるば見つけてかり、 「こっじゃいかん、つたの葉のしげっとと、敵やつが、そろっとはいってきたてちやわからんじゃなかか、すぐ取ってしまわにゃけん」役人たちがすぐ人夫を集めてかり、つたば取ろうてするばってん、もう何年も前からのだからだけんかなか取れんし、しゃいもっでん取ろうとすっと、屋根まで壊れるといけん。そうれ見とった役人は、
「こら、わからん、ちょっとよ待っとれ、殿様に言うてるけん。」
役人、殿様のがこらして、
「殿様、どぎゃんでしゅうか、今、根はうち切っとってかり、枯れちしもうたなら、とるごっすっとしゃがにゃ。」
「うん、よかたい。」
そん話を、ちょうどきいとった彦一が、
「ちょっと待ってはいよ、そぎゃんこっすっと、つたはとれんごつしなりますばい。」
すっと、殿様の、
「ばかんこつ、木でん草でんかるっとしゃがにゃ、よおなってしまうどもん、かれちかり取った方が、よかろばい。」
彦一、床の間のふじづのかごばゆびしゃてかり、
「こうば見てはいよ、つくっときゃなましかけん、どぎゃんでんまげられますばってん、こぎゃんなってから、どぎゃんもでけまっせんもんな。ふじづるも、つたと同じこつのごたるものですけん、今とった方がよかっじゃなかろうかて思いますばってん。」
聞いとった、とんさんも役人も、ほんなこっと思うてかり、また、仕事ばはじめらしたげなたい。

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